知人から『うちの会社にきたら?』と紹介・誘われて入社をするリファラル採用。
リファラル採用のメリットには、企業側のメリット、紹介者へのメリット、紹介を受けた者へのメリットがあり、この全員にプラスの利益があることですが、この全員もしくは、このうちの誰か一人或いは二人に大きくデメリットがのしかかる可能性も否めません。
私個人的には、リファラル採用での入社はしないし、知人にリファラル採用での入社について相談されたら『おすすめしない』と言うと思います。
本日は、紹介者と紹介を受けた人の立場からみたリファラル採用のデメリットを、実体験を通してご紹介いたします。
リファラル採用とは?メリットは?
リファラル採用とは、社員が自分の知人や友人を会社に紹介し入社させるだけでなく、会社側は紹介してくれた社員に対し、その報酬として約30~50万円を渡す(※金額は企業によるかと思いますので、ご確認ください)という制度。
ここで分かるように、紹介者側のメリットは、報酬の受け取りと知人が入社するので働きやすくなるといった心理面のメリットです。
リファラル採用を通して入社する側のメリットは、知人や友人から紹介してくれるので、内定までのスピードは速く、組織の風土などを詳しく知人・友人から聞くことができ、ミスマッチングを避けることができるという点です。
しかし、リファラル採用にはデメリットも多く存在し、私としてはそのデメリットは非常に大きく重い、と思っています。
ここからは以前私が勤めいた会社で、リファラル採用で入社してきた人の出来事を見てきた感想となりますが、リファラル採用のデメリットについてお伝えいたします。
身近で見てきたリファラル採用のデメリット
以前勤めていた会社での話。
転職しない方が良かった事実を知る
私より1年後にリファラル採用で入社してきた人が私の直属の上司になったのですが、その人が深夜1時半まで働くことと、入社数か月後には土曜日も働くことになったことに対し、愚痴をこぼしていました。
その上司が以前勤めていた会社は、土日祝日は休み、深夜まで働くことはなく、ワークライフバランスがとれていたそうです。
しかし、私が勤めていた会社に入社してからというもの、深夜まで残業があり、土曜日もミーティングに呼ばれ、仕事をしなければならないこと、そして日曜においては月曜日の仕事の準備のため自主的に働かなければならないそう。(ちなみに他の社員や他部署の上司は土日祝日休み)
年収は以前勤めていた会社よりちょっと毛が生えた程度だそう。
その上司曰く、長時間労働で休みもないため、『割に合わない』状況だそうです。
しかし、私は愚痴をこぼすことに疑問に思いました。
リファラル採用で入社してきたなら、深夜まで働くことや、土曜日も働く可能性もあることは知らなかったのだろうかと…。
また、私が勤めていた会社というのは、パワハラモラハラは横行し、三六協定違反やパワハラモラハラの調査で労働基準監督署も度々抜き打ちでくる会社であり、社長、役員、人事部、コンプライアンス部までモラルが破綻しており、入社してきた転職組は1~2年で退職してしまう会社でもあったので(私自身、これらの点は入社して3ヶ月で知りましたが)、これらの情報を知らない人がリファラル採用を利用して、知人や友人を会社に引き入れているのかと思うと、お互いの信頼関係が崩れていくだろうなと思いました。
リファラル採用された上司のその後
リファラル採用された上司の人はその後どうなったかというと、疲れやストレスなのか、その人の性格なのか分かりませんが、入社して1年で顔つきも変わり、物忘れもひどくなり、私や業務委託で入社していた人に八つ当たりをし、パワハラ・モラハラが増えました。
業務委託で入社していた人が数名いたのですが、その上司の仕事のやり方に対し激怒し、契約途中で辞めていきました。
リファラル採用で入社した人は、紹介者の手前、辞めることができないような感じですが、その上司自身『転職に失敗した』と思っているんだろうなと思っていました。
デメリット➀:紹介者さえ知らない悪待遇を後で知ることになる
私が勤めていた会社というのは、部署や人によっては深夜1時過ぎまで仕事が続くことは私が入社する以前からあったようです。
その上司を紹介した社員(誰だか分かりませんが)は、その点知らなかったはずはないと思いますが、部署や任される仕事が違うことを知らなかった、或いは新たなプロジェクトが立ち上がるとこれまでなかったキツイ働き方を要求される可能性もあることを配慮して伝えていなかった・知らなかった可能性も否めません。
このように、紹介者さえ知らない何かを入社後に知ることになるというのが、リファラル採用のデメリットではないかと思います。
また、入社後、さらに待遇の悪い働き方を要求され、健康を崩そうが、家族との時間や自分の時間が無くなろうが、その責任を負うのは紹介を受けた人のみ(紹介を受けた側の自己責任)となるのもリファラル採用のデメリットです。
デメリット➁:裏切るか裏切られるか・信用されるか信用を無くすか
リファラル採用のデメリットは、紹介する側もされる側もリスクがあります。
紹介された側のリスク・デメリット
紹介された側のデメリットとして、上記の例のように、仕事の内容や風土が『聞いてた内容と違う』ということがあります。
まるで騙された気分になるでしょう。
聞いてた内容と違うことを、紹介してくれた人や人事の人に正直話せる人は何ら問題はありませんが、知人が勤めてきた会社への不満や『話が違うじゃないか!』と言えない人は、なかなか苦しい現状となりそうです。
そして、紹介してくれた知人の顔を立てるためにも、会社が合わないと思ってもなかなか辞めると言いだせないのではないでしょうか。相手の顔を立てるべく『最低でも2~3年は働かなきゃ』と自分の人生を犠牲にしながら縛り付けるようなことになってしまうかもしれませんね…。
そして、会社や仕事内容が本気で合わないという状況になると、紹介した側の知人のことを恨んだり、信用できなくなることもあり、これまでの友人関係や信用が破綻する可能性もあります。
紹介した側にあなたが入社したことで報酬が入っており、あなたが入社して数か月で辞めて、あなたは取り残されるということもあるかもしれませんね…。
紹介した側のリスク・デメリット
紹介した側の一番のリスク・デメリットとして挙げられるのが信用や友達関係を失うことではないかと思います。
転職とは人生を変える大きな転換です。
紹介された側は、以前勤めていた会社の環境・待遇を捨ててあなたの会社に入社してくるわけです。
しかし、入社前に伝えられなかった情報により、プライベートの生活や心身不調、割に合わない年収だったということになれば、紹介された側から不信感を持たれたり、信用を失ってしまう可能性もあります。
全ての情報を話し、相手も納得した上で入社したけれど、会社の状況が変わってしまったことが原因で、不利な職場環境・待遇になってしまった場合、どちらも悪いわけではないのですが、お相手の待遇が前職より不利な状況となってしまった場合、お互いにギクシャクしてしまい、そういったわずらわしさも発生する可能性もあります。
人の人生を左右するものに直接関わらないこと!!!
自分が働く会社がとってもよい会社だと思っても、相手にとっては不快な思いをする場所になりうることもあるのです。
転職は、その人の人生だけでなくその人の家族の未来までも変えることになるのです。
今回、私自身、前職でリファラル採用で入社してきた人を見て、入社を決めた本人の責任ではあるものの、人生設計が狂ったり、築き上げてきた大切な関係が壊れたり、自分の信用を落としたり、お互いに或いは一方だけが罪悪感を感じてしまったり、自分を責めてしまったりする状態を作り上げる可能性もあると考えると、リファラル採用にも難しい課題があるのだなと思いました。
自分の人生は自分で決めることで、自分自身も相手も守ることになるので、できるだけ他人様の人生を大きく左右することに直接関わらないことも心穏やかに暮らすためのヒントだなと思います。
リファラル採用のいいも悪いも、感じ方は人それぞれですで、自分の意識がどこに焦点を当てるかでリファラル採用の良しあしが変わってくると思います。
ぜひ、そんなチャンスがあったら、お相手と慎重にお話をして、皆がハッピー×ハッピーになれるような採用環境を紹介する側もされる側も作り上げてくださいね!
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