「自分軸」という言葉を最近見聞きします。
自分軸とは、大まかにいえば、自分の意見を持ち、自分の意思で物事を進め、他人に振り回されず、自分の人生は自分で決めて生きていくこと。
そして、自分軸とは:
- 決してわがままになることでも、
- 他人を否定することでも、
- 相手に失礼な態度を取ることでもありません。
「自分軸」という言葉に託けて、相手への尊重なく意見を否定したり、相手に失礼な言動をとりながら我を通す方も散見します。こういったマナーのない自分軸は『嫌われる自分軸』であり、職場で発揮すると孤立します。
『仕事ができない人』とレッテルを貼られることもあるでしょう。
本日は、”嫌われる自分軸 (職場編)”についてお伝えいたします。
マナーのない「自分軸」は嫌われる
実例:マナーのない自分軸
私が日本で日本の企業に勤めていた時の実体験。
いつも自分の意見を、鼻息荒げながら発言してくる新入社員がおり、彼女は、上司の意見や指示を否定し、上司に対して指示をする新入社員でした。
そんな彼女と業務することになった時の話です。
とある作業を行う際、私がその女性新入社員含め、他の社員に対し「上司と話し合い、〇〇という見解から(※現場ではこの点を事細かに説明しています)、XXXという方法でプロジェクトを進めることになりました。なので、本日からXXXという方法でプロジェクトを進めてください」と指示したところ、その女性新入社員は「私はそういう見解が正しいかどうかは分からないので、私はやりません。〇〇さん(私)、本当にその方法で正しいか確認してもらえますか」と言われたことがありました。
私は、彼女のマウントを取るような言い方に驚きましたし、事前に上司と話し合いも入れた上で、『〇〇という見解を踏まえてXXXという方法でプロジェクトを進める』と話しているのにもかかわらず、彼女が『そういう見解が正しいのか分からない』と言うのか意味が分かりませんでした。
この部下に欠けていたところ
この部下の良いところは、自分の意見を言える点。一方、欠けていたことは下記4点。
この部下の発言に欠けていたところ
- その見解が正しくないと思う彼女なりの理由
- その見解が正しくないならどうすればいいか、という自分なりのアイディアの提案
- ➁を実践すると、どういった結果が予想されるか
- 依頼の言葉
上記ポイント押さえたうえで、以下のように発言できていたら、パーフェクトだったことでしょう。
<彼女がこう言えたらパーフェクトだったという例>
私は■■■という理由から、その見解が正しいとは言えず、XXXという方法で作業を進めるのも的確でないと思います。ですのでXXXという方法で作業するのではなく、代わりに▲▲▲という方法で進めるのはいかがでしょうか。この方法で作業を進めると、★★★という結果が生まれ、プロジェクトを円滑に効果的に進めることができると思います。一度、私の提案する▲▲▲という方法をご検討いただきますでしょうか。
上記4つのポイントは、論理的に話している上に、依頼の言葉を添えて相手を尊重する、まさに「自分軸」を前面に出す話し方だと思います。
- 論理的に話すこと
- 依頼の言葉を添えること
- 相手を尊重する意志を持つこと
これら全部を会話の中に入れて話すこと自体が”マナー”とも言えるでしょう。
上記4つのポイントはまさに自分の意見・見解であり、これを伝えることができたら、まさに本当の「自分軸」なんですよね。
そして、自分軸を輝かせる重要な要素となるのが4つ目の「依頼の言葉」。
『いかがでしょうか』、『よろしくお願いします』、といった言葉はマナーを表します。
その人の品格を表すものでもありますので、マナーのある言葉があるかないかで、あなたの「自分軸」の質も変わってくるのです。
彼女のようなマウントを取る言動は、周囲を不快にさせ、自分で自分の品格を下げ、因果応報として、周りから嫌われたり、嫌がらせを受けることになるので非常に残念なことと思います。
\年齢が上がる程、必要なスキルのひとつ/
上司としてのマナー
上司こそ、部下に対しマナーを守り尊重することが重要です。
この部下が 「私はそういう見解か正しいかどうかは分からないので、私はやりません。本当にその方法で正しいか確認してもらえますか」 と発言したことで、私は彼女に以下の点を尋ねました。
- その見解が正しくないと思う理由
- その見解が正しくないならどうすればいいか、という自分なりの考え
- ➁を踏まえ、その方法で実践すると、どういった結果が予想されるか
そうです。先に述べた『部下に欠けていた点』です。
彼女は上記3点に触れずに「できません・やりません」や「本当にその方法で正しいか確認してもらえますか」とまで発言したので、こちらから、この部下の意見を聴き出す(引き出す)ことにしたのです。
部下の意見を聴き出す・引き出すのは、上司としての役割であり、マナーです。
しかし、この部下は答えられませんでした。
理由は簡単です。「本当にその方法で正しいのかは知らないから(深い意味はない)」という理由で、発言をしていたからです。深い理由などないわけですから、その他の方法などアイディアもないので、部下は上記3点の質問に答えることができなかったのです。
上記3点の質問を部下に投げかけたことで、部下は自分の意見もない、新しいアイディアがあるわけでもないのに、相手に対し「もう一度その方法で正しいのか調べてくれませんか?」とまで発言したということも分かりました。
自分の意見もなく相手を否定し、自ら上司に指示するのは「単なる失礼な人」です。
残念ながら、私はこの部下に対し、そういう印象を持ちましたし、その先もその印象は消えることはありませんでした。
上記質問に答えられなかった部下に対し、私は、この部下に対し以下のように伝えました。
XXXという方法が正しくないと思う理由もなく、他の方法でやった方がいいというアイディアもない上に、私は作業をやらないと判断することはどう思いますか?
また、自分の意見もないのに、”もう一度その方法で正しいのか調べてくれませんか?”と、こちらに指示するのも筋が通りません。
上司含め、我々は〇〇〇といった見解からXXXという方法で作業を進めることに決めましたので、この方法で作業を進めてください。
この方法で不明な点が発生したら、お気軽にお知らせください。よろしくお願いいたします。
「自分軸」には、人格が現われ質が問われる
海外では、相手の意見を否定する形になっても、この部下に欠けていた”4つのポイント”をくっつけて発言することが多いです。
ましてや、この部下のように鼻息荒くして意見を言うより、穏やかでこの方法はいかがでしょうかと提案型の”紳士的”な発言される方が周囲に多かったので、こちら側も身構えることはありません。
反対意見であってもマナーがある…それが海外の人達の「自分軸」です。
(※私の周囲にいた人達だけの話になりますが)
自分軸とは、わがままになることではありません。
自分軸とは、相手への尊重無しに相手の言動を否定をし、我を通すことでもないのです。
『自分軸』には、その人の人格が現われやすくなります。
これから、いろんな「自分軸」を持った人が現われ、質が問われてくるでしょう。
そして、人格や自分軸の質を通して、「自分軸の格差」が生まれてくると思います。
よって、今後さらに”毛嫌いされる「自分軸」”の定義も明確化してくることでしょう。
皆さんの「自分軸」、”嫌われる自分軸”になっていませんか?
ご注意を。
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